イタリア5


エルコラーノ遺跡へ、電車で行くときの完全ガイド

先に結論

ナポリからエルコラーノ遺跡(ヘルクラネウム)へ向かうとき、確実に停まる電車を選べないと、遺跡を通り越して連れて行かれます。

私は実際にやりました。以下は、その日に撮った写真を使った解説です。

そもそも何が難しいのか

日本の感覚だと「目的地方面の電車に乗れば、途中駅にも停まるだろう」と思います。ところがチルクムヴェスヴィアーナでは、目的地方面の電車が、目的地に停まらないということが普通に起こります。

しかも判断材料が極端に少ない。駅の掲示板にも、車内の路線図にも、「この列車がどの駅に停まるか」は一切書かれていません。

落とし穴は3つあります。

落とし穴①:駅名が2つある

〈▼車内路線図の写真〉

路線図が横に長すぎて写真撮りにくい、、 左端の丸がNAPOLI駅です

エルコラーノには駅が2つ隣接しています。

  • Ercolano Scavi-Vesuvio ← 遺跡はこちら
  • Ercolano Miglio d’Oro ← 隣駅

Scavi(スカヴィ)はイタリア語で「発掘」。遺跡の最寄り駅には必ずこれが付きます。ポンペイも同じで、遺跡の駅は Pompei Scavi です。

落とし穴②:路線が枝分かれしている

チルクムヴェスヴィアーナは途中で何本にも分かれます。エルコラーノを通るのは海沿いの線だけです。

行き先エルコラーノを通るか
Sorrento(ソレント)通る(ただし停まるとは限らない)
Poggiomarino via Scafati通る
Torre Annunziata通る
Sarno via Ottaviano通らない(内陸)
Poggiomarino via Ottaviano通らない(内陸)
Napoli P.N.逆方向(ナポリ側の終点行き)

ポッジョマリーノ行きには内陸ルートと海沿いルートの両方があります。via Scafati と書いてあるほうが海沿いで、エルコラーノを通ります。

出発案内にはこれが全部混ざって出ます。

落とし穴③:種別によって停まらない ← 本命

〈▼ナポリ・ピアッツァ・ガリバルディ駅の出発案内〉

掲示板の CAT 列を見てください。ここに種別が入っています。

表示意味エルコラーノ
AAccelerato(各駅停車)停まる
DDiretto(一部通過)通過あり
DDDirettissimo(多数通過)通過されやすい
EXPCampania Express(観光列車)停まる/別料金

現地の旅行者向け掲示板では、**「ナポリ〜エルコラーノを移動するなら、ポッジョマリーノ線かカンパニア・エクスプレスを使う必要がある」**というのが定番の助言になっています。ソレント線は速度向上と遅延対策のため、エルコラーノを含む中間駅を多数カットしているからです。

つまりこれは、個人の不注意ではなく構造的に有名な落とし穴です。

【裏技】列車番号で見分ける

これは私が自分の写真を見比べて気づいたことです。公式の説明ではないので保証はできませんが、実用的でした。

列車番号の千の位が路線を表しているようです。

  • 4000番台 → ポッジョマリーノ線(海沿い・エルコラーノに停まる)
  • 10000番台・1000番台 → ソレント線(通過便が多い)
  • 6000番台 → サルノ線(内陸・エルコラーノを通らない)

〈▼エルコラーノ・スカヴィ駅の出発案内〉

エルコラーノ・スカヴィ駅の発車案内を見ると、並んでいるのは 4106・4112・4119 と 11000番台。4000番台がここに停まっていることが確認できます。

ガリバルディ駅で 4000番台・CAT「A」・行き先 Poggiomarino(via Scafati) か Sorrento を探す。これが一番速い判断方法だと思います。

アルテカードとの、やや理不尽な関係

ここが一番ややこしいところです。

Campania Artecard(カンパニア・アルテカード) は、ナポリを含むカンパニア州の観光パスです。私が使ったカンパニア3日券は、州内の対象施設2か所が無料、以降50%割引、そして州内の公共交通が乗り放題になります(有効期間は最初に使った時点から72時間。自分でアクティベートするまで開始しません)。

チルクムヴェスヴィアーナの普通列車は、この乗り放題に含まれます。エルコラーノもポンペイも、アルテカードで行けます。

ところが。

カンパニア・エクスプレス(EXP)は、アルテカードでは乗れません。 専用チケットを別途購入する必要があります。EAV(運行会社)の公式ページにも、通常の Unico Campania のきっぷ・定期・アルテカードはこの列車では無効、と明記されています。

整理すると、こうなります。

  • アルテカードで乗れる列車 → エルコラーノに停まらないことがある
  • エルコラーノに確実に停まる観光列車 → アルテカードでは乗れない

乗り放題パスを持っているのに、確実な選択肢だけ課金対象、という構図です。

⚠️ さらに追記:EAVの公式ページによると、カンパニア・エクスプレスは2026年10月1日から運行休止(期限未定)になっています。これから行く方は、そもそもこの選択肢が使えない可能性があります。最新情報の確認をおすすめします。

実践:どう動けばいいか

乗る前

  1. 行き先を確認 — Sorrento / Torre Annunziata / Poggiomarino via Scafati のいずれか
  2. CAT欄を確認 — A を選ぶ
  3. 列車番号が 4000番台 なら、なお安心
  4. 迷ったら、ホームで駅員や乗客に「Ercolano Scavi?」と聞く。これが一番確実です

乗った後

〈▼車内モニターの写真〉

天井のモニターを見てください。次の停車駅と前後の駅名、行き先、列車番号が表示されます。乗った直後にここを確認するのが最後の防衛線です。ここで現在地を確認して通り過ぎたりしていることに気が付けば次の駅で降りて乗り換えする。

通過されてしまったら

  1. 次に停まった駅で降りる
  2. 反対側のホームへ移動
  3. Napoli P.N. 行きで、CAT が A の電車に乗る
  4. 分からなければ「Ercolano Scavi?」と聞く

戻りも通過型だと、またエルコラーノを飛ばしてナポリまで連れ戻されます。ここで種別を確認しないと、往復する羽目になります。

実例:私の場合

参考までに、実際に何が起きたかを時系列で。

時刻出来事
08:07ナポリ・ピアッツァ・ガリバルディで掲示板を撮影
08:08一番早いソレント行き(1081 / DD)に飛び乗る
—エルコラーノ2駅を通過。車窓を流れていく
08:30頃トッレ・アンヌンツィアータで下車。反対ホームへ
08:39戻りの 10832(各駅停車)で北上中
08:50〜09:00頃ようやくエルコラーノ・スカヴィ到着

予定より30分弱の遅れで済みました。

そして、あの朝の正解は何だったのか。掲示板を見返すと、

4083 / CAT: A / POGGIOMARINO(VIA SCAFATI) / 3番線 / 08:16

私が写真を撮った9分後、隣のホームから出ていました。

まとめ

  • 降りる駅は Ercolano Scavi(Miglio d’Oro ではない)
  • 行き先は Sorrento / Torre Annunziata / Poggiomarino via Scafati
  • CAT 欄で A(各駅停車)を選ぶ。DD は通過する
  • 列車番号 4000番台 が狙い目
  • 乗ったら車内モニターで停車駅を確認
  • アルテカードでカンパニア・エクスプレスには乗れない
  • 朝一番で遺跡に向かうなら、30分の余裕を見ておく

注記

記載内容は2026年6月時点の体験と、その後に確認した情報に基づきます。ダイヤは年に数回改正されます(2026年は2月・3月に改正があり、10月17日からさらに新ダイヤ)。列車番号の系列については公式の説明を見つけられていないため、あくまで経験則としてご理解ください。

EAVの公式サイトには路線ごとの時刻表PDFがあり、列が1本の列車・行が駅の表形式で、空白セルなら通過という読み方ができます。ただし海外からのアクセスがブロックされている場合があるようです(私は日本から開けませんでした)。

まぁ、海外で電車が目的地通過するとかあるあるですけれど、、きっちりテンパります、、(笑) この記事がエルコラーノ遺跡行きたい人にちょっとでも役に立てばうれしいです!

エルコラーノ遺跡は次の記事で!